消防署から書類が届いたがどうしてよいかわからない

ビルや建物を所有している方の中には、消防署から届く書類に不安を感じたり、戸惑ってしまう方もいるかもしれません。特に、立入検査結果通知書や是正計画書が送られてくると、何をどう対応すればよいのか分からないという方も多いでしょう。この記事では、消防署から送られた書類の内容を解説し、その対応方法について詳しく説明していきます。

目次



大きな法的責任が伴うビル・建物オーナー

ビルや建物のオーナーには、さまざまな法的責任が伴っているのが事実です。なかでも消防に関する法令遵守は非常に重要で、建物の火災予防や防火対策を適切に行わなければ、万が一に火災などが発生した場合、最悪の事態を招く恐れもあります。
消防署からの指導や立ち入り検査後に送られる書類には、建物が消防基準を満たしているかどうかを確認する内容が含まれており、オーナーとしての責任を果たすためには速やかに対応する必要があります。

消防署から届いた書類が「立入検査結果通知書」や「是正計画書」であったら、その内容には注意深く目を通しましょう。書類を適切に対処しない場合、罰金や営業停止などの罰則が課せられる可能性があります。

また不特定多数の人が出入りする建物で、改善命令が通告されたにも関わらず一定期間内に改善されない場合、建物の名称や所在地、違反内容が消防署や自治体のホームページなどで公表される「違反対象物の公表制度」というものがあります。
これは違反者に是正を促すことを目的に定められた制度で、ビルや建物の運営に大きな支障をきたす可能性もあるため、早期に対応することが求められます。

消防署からの書類「立入検査結果通知書」と「是正計画書」

「立入検査結果通知書」とは、消防署が定期的に行う建物の立ち入り検査後に送られる書類で、建物の消防設備や防火対策が適切になされているかが記載されています。消火器の設置状況、避難経路の確保、火災報知機やスプリンクラーの有無などがチェックされ、その結果が記されています。もし立入検査で問題が発見された場合、この通知書には指摘された事項が一覧化され、是正すべき項目が明示されます。オーナーは指摘された内容をしっかりと確認し、適切な対応をする必要があります。

「是正計画書」は、立入検査結果通知書に基づき、指摘された問題点をどのように解決するかを記載し消防署へ提出するための書類です。消防署はオーナーに対して是正計画を提出するよう求めることがあり、この計画書には、必要な修正や改善措置を実施するための期限、具体的な手順、さらには工事や設備の設置についての詳細を記載します。


たとえば、避難経路に障害物があった場合どのように撤去するか、または消火器が不足している場合はどの程度増やすかなど、適切な防火対策に向けた計画を検討する必要があります。

消防署からの書類を放っておくとどうなる?

消防署からの書類に適切に対応しないままでいると、さまざまな問題が発生することになります。是正措置を行わないことで消防法違反となり、罰金を科せられる可能性があります。特に、立入検査で指摘された問題が放置されると、重大な火災事故を引き起こすリスクが高まり、最悪の場合、ビル全体が営業停止となることもあります。

また、法律に基づく指導を無視したまま改善しなかった場合、消防署からの再検査が行われ、その結果によっては事業停止や営業許可の取り消し、「違反対象物の公表制度」により消防署や自治体のホームページなどに公表されるなど、深刻な結果を招くことになります。

オーナーとして、消防に関する法律や法令を守らないことは、単に法律や法令に違反するだけでなく、従業員や顧客、さらには近隣住民の財産や人命にも関わる問題となります。

まずはオーナー自身が対処できることを行う

消防署から指摘された問題点を解決するために、まずはオーナー自身が対処できることを行いましょう。まずは消防署から届いた書類をよく読み、指摘された問題点を理解することが大切です。そのうえで必要な設備の設置や修繕を行います。


たとえば、消火器が不足している場合は新たに購入して設置する(内容によっては有資格者の対応が必要な場合もあります)、避難経路に障害物がある場合はその撤去を行うといった基本的な対策であれば、自分で行うことができます。

しかしスプリンクラーや火災報知機の設置や是正を行うとなると話は別です。専門的な知識や資格が必要とされる場合や、規模の大きな修繕が必要な場合には、無理に自分で対応するのではなく、専門業者に依頼することが得策です。

必要なのは早めの対応、専門業者に任せると安心

前述のとおり、消防設備の設置や点検、是正措置については、有資格者(消防設備士など)による専門的な知識と技術が求められる場合があります。単に設備を置けばよいというものではなく、定められた設置基準を満たす必要があるなど、消防法に則った適切な改善策を講じるためには、専門業者のサポートが不可欠です。

専門業者に任せることで、必要な作業が漏れることなく行われ、法律を遵守したかたちで是正が進められます。加えて、業者には消防法に従った定期的な点検やメンテナンスも依頼できるため、今後の消防法令に対する対応も安心です。業者が実施する点検や修繕が終了すれば、適切に消防署に報告し、再度検査を受けることも可能です。

消防署からの書類を受け取った際には、適切な対応が求められます。立入検査結果通知書や是正計画書への対処は、あなたの建物の安全性を高めるために重要な手続きです。

自分でできることもありますが、専門的な対応が必要な場合は、消防設備の専門業者に依頼することで、確実に問題を解決できます。火災から大切な人々の財産や人命を守るため、早期に対応することが最も重要です。

東京都の消防設備点検のご相談先